4月13日(金) 第51回石岡消化器疾患懇話会にて2演題を発表しました。
1演題目「LARS後バレット食道癌の手術例―163例中1例―」です。
H12年より、163例の広義のGERDに対して腹腔鏡的Toupet手術を施行してきました。基本的には難治性食道炎症例であり、バレット食道を手術前より、ほとんどの方が持っております。
特にLSBE(3cm以上長いもの)を合併している症例もありますが、そのほとんどが、SSBE(3cm)以下といってShortバレット食道です。バレット食道の癌化率は欧米では、5~15%(LSBEの場合が殆んどですが)と非常に高率です。日本では0.6%程度と言われています。しかし、正常食道粘膜の40~50倍の癌化率と報告されています。今回、当院で逆流性食道炎の腹腔鏡的逆流防止手術(LARS)であるToupet法を施行した163例の患者さんで初めてバレット食道癌が発生しました。手術後10年を経過しているが、手術後は、1年後に1度しかカメラをしておらず、その後、9年間は通院しておりませんでした。残念です!この症例にとっては、胸やけ等の症状は手術によって完全に治りましたが、バッレト食道癌発生の抑制効果はなかったと思われます。しかし、163例中1例であり、少ないように思われますので、全体として抑制効果はあるものと思われます。
症例を提出して、文献的考察を行ない下記の如く発表しました。
2演題目「稀な胆道狭窄」
非常に稀な胆道狭窄を惹起する疾患である硬化性胆管炎です。全国で、年間数百人程度と稀な病気で厚労省の難病指定疾患です。胆道狭窄の97~98%は悪性腫瘍です。
今回、ⅠgG4硬化性胆管炎症例を経験しました。当初は、やはり胆管癌を強く疑いましたが、稀な疾患を常に念頭において精査を進めることが極めて大切です。私は、35年間の臨床経験で初めて遭遇?(見逃してなければ)しました。文献的考察を加えて、下記の如く発表しました。