本年2月に大きさ8?の微小膵癌を発見し、切除をすることができ、長期予後を期待している。現在のところ、我々外科医にとっても、人数にとっても、難攻不落な病気である膵癌の診断、治療をどのようにするのか。
そのstrategyは・・・

        膵癌早期発見について

はじめに・・・
膵臓癌は予後(回復の見通し)が最も悪い癌として、最近その5年生存率の低さなどがマスコミより報道された。そもそも診断、治療が困難で評判の悪い癌として一般人にも恐れられているので、その報道にはインパクトがあった。実際、table1の如く、公益財団法人 がん研究振興財団「がんの統計‘15」全国がん(成人病)センター協議会加盟施設における5年生存率(2004〜2007年診断例)引用の成績でも、いわゆる5年間生存率は全体で8%、全ての癌の中でもっとも低く、予後が悪い。たとえStage?であっても36.0%と惨憺たる状況である。つまり、早期発見も難しいが、その治療も困難だということである。手術対象例(手術が可能な患者)は、20〜30%しかなく、たとえ切除手術がなされたとしても5年生存率は20%程度しかなく、他の癌と一括りせず、最も難病疾患として対応すべき疾患でと思われる。
当院での過去10年の膵癌の手術症例の内訳をTable2に示すと、男43:女26、39〜80歳平均66.13歳、膵頭十二指腸切除術56人、膵体部切除10人、その他3人 total69人であった。Vater乳頭部癌を除いては全てstage?以上であった。本年も4月までに10例の膵癌を診療したが、切除し得たのは4例であった。しかし、4例中1例に、大きさ8?の微小膵癌(10?以下)の手術を経験した。70歳代後半の女性で偶然に腹部エコーにて発見され、浸潤癌としては極めて稀であり、手術成績が期待される。


☆それでは・・・
早期膵癌とはどの様な腫瘤なのか・・・
Fig1の如く、T1(20?以下) stage1=早期癌(5年率36.0%)とはならない。T1・stage1で早期とされる割合は、5〜6%であり、極めて発見率が低い。Fig2で示す如く旧分類のTS1a(10?以下の膵癌)は5年率が80.4%(Fig2)で浸潤例もあるが予後は極めて良好となる。したがって、まずFig1に示す新分類のT1a、T1bの膵癌を発見することが膵癌のかなりの克服に繫がる。更には新分類のT1a(5?以下)又は腫瘤のない膵管上皮内癌を発見することが最も望ましい(100%生存率)。


☆それでは・・・
どのように発見すればよいのか・・・

近年の画像診断 腹部エコー、MDCT(当院では最高の256列)、3.0テスラ―MRI(MRCP)、MRI・MWI(body diffusion、超音波内視鏡)など、進行に伴って、T1の発見率は4〜5%と上昇している。Fig3に示す如く、現在のところ早期発見には高リスク群を中心に高性能診断装置による?〜?の如くの方法で、まずは10?以下(できれば新分類T1a 5?以下)を発見することであり、上記の画像の診断をさまざま駆使することによって早期発見につながるのが現状である。






2017年4月10日 山王台病院 院長 幕内幹男

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です