日本胃癌学会参加への登録を昨日行いました。来年の2月に発表する
予定となっております。予定される演題名を掲載いたします。
日本胃癌学会
演題名 噴門側胃切除・食道胃吻合に対する噴門形成術の手技的工夫
英語演題名 Technique of fundplasty for reconstruction ofpost proximal partial gastrectomy
口演者 幕内幹男 笹屋晶示
所属 山王台病院
抄録
近年の内視鏡的治療の技術の進歩に伴い、胃上部、特に噴門直下の早期癌に対しても内視鏡的粘膜剥離術(ESD)の適応が拡大されつつある。しかし、術前診断にてsmが予測される症例やESD後遺残症例に対してはリンパ節郭清を伴う根治切除術が必要となる。
一方、我々のU領域mp以浅癌のリンパ節転移率:m,sm(n=26)は、No.1の4%のみで、mp(n=13)は46.2%にリンパ節転移を認めたが、No.6及び4dにはリンパ節転移はなく、sm以浅の胃上部癌に対しては、No.6及び一部4dの郭清を省略した噴門側胃切除の選択が可能と思われる。切除後の再建は残胃の大きさも含め、1.食道・残胃吻合、2.ポーチ形成を含めた空腸及び結腸の開置術等が選択されるが、我々は1)残胃が2/3程度温存される、2)sm以浅で明らかな幽門下周囲リンパ節に転移のないことを条件として、食道・残胃吻合を施行してきた。
同術式の最大の問題点は、噴門機能の破壊に伴う術後逆流性食道炎の防止である。我々は、噴門機能障害に伴う胃食道逆流症患者に対する2/3周のfundplication、gastropexy、裂孔縫縮(Toupet法)の105例の鏡視下手術経験をもとに、食道残胃前壁吻合に同様の噴門形成術を行っている。
術後成績は、1年後の体重推移において術前に比して胃全摘術(Roux-en-Y)が78.3±2.80%であったのに対して、同術式は86.4±4.30%で有意に良好であった。また、問題となる逆流症状の出現率も8%と低かった。更に、吻合部の内圧測定は、HPZ(T)24.5±4.9mmHg、HPZ(L)32.1±5.9mmと正常コントロール29.8±8.1mmHg 、40.8±9.6mmに近く、また極めて類似した引き抜き内圧曲線が得られた。
HALS又は小開腹術にて最近8年間で施行した23例の同術式の術後成績と手技的工夫についてビデオにて供覧する。