第72回日本臨床外科学会

H22年11月22日〜23日にパシフィコ横浜にて第72回日本臨床外科学会の開催が予定されています。

今年度も当院より2演題を応募させて頂きました。[:おてんき:]

演題
胃食道逆流症に対する鏡視下噴門形成術130例の検討―手技の安定化を目指して―

演者
笹屋昌示

抄録
我々は、最近11年間で130例の胃食道逆流症に対して鏡視下噴門形成術を施行した。対象は、男64女66例、22〜83平均53.1歳で、逆流症状のアンケート問診票(Fスケール変法)の高スコア、PPI抵抗、巨大ヘルニアに伴う心肺機能障害例などを適応とした。術式は、Toupet法129例、Nissen法1例で、ポイントはwrappの長さや程度及び裂孔の適度な縫縮と、gastropexyによる滑脱の防止等にあるが、術後早期のつかえ感と長期的に診たwrappの緩み及び短食道例の胸腔内への引き込みである。合併症は、皮下気腫4、気胸4、脾被膜出血2、胃チューブの縫着1例で開腹移行はなかった。手術時間は107〜358平均192.1分、入院期間は3〜23平均8.6日であった。症状の改善をスケール・スコアによって評価すると、術前平均21.7に対して術後3ヶ月以内で3.8、3ヶ月以後0.9と極めて改善が得られた。しかし、術後初期のつかえ感10例に対して内視鏡的バルーン拡張術を、術後数ヶ月を経過した5例にPPIを一時的に再開、1例に継続投与を行なっている。またクル病合併短食道例にヘルニアの再燃を認めた。同術式は、症例の積み重ねによって確立しつつあるが、術後早期のつかえ感と逆流症状の再燃のバランスにあり、つかえ感は若年、再燃は高齢者に多い傾向にあった。術式には年齢、体格、短食道例などを考慮した個々への工夫が必要と思われ、更に適切な術式とトレーニングによる安定化について検討して報告したい。

演題
PPHを応用した内痔核、直腸脱に対する手術手技の工夫―465例の検討―

演者
上道治

抄録
PPH法は当初running sutureの高さが一定せず、多種の肛門疾患に充分な対応ができず、術後の疼痛や再発などを少なからず経験した。しかし、手技の工夫及び熟達によって、比較的重度の内痔核及び直腸脱に対しては、他法に比してよりよい適応症例があると考えられた。(1)100%透明フードを肛門管に挿入し、脱出先進部に全周性に一定の高さのsuture lineになるようにマーキングすること(2)均一に粘膜を環状に切除することとanvilの確実な挿入の為sutureに3針固定糸をかけて牽引すること(3)内痔核脱出では症例によってLAを追加すること(4)直腸脱の著明な症例や括約筋が緩い場合はThiersch法を追加するなどの工夫をしている。我々は平成11年よりPPH法を導入し、上記の工夫をし379例に施行した‐PPH群。対象はPPH群は、PPH単独185、PPH+LA188、PPH+Thiersch6例であり、またLA単独、ALTAその他の非PPH群は87件で、合併症、成績について比較検討した。合併症は、PPH群で再発3、術後出血4の計7例(1.8%)、非PPH群は再発2、出血1、直腸周囲膿瘍1、肛門狭窄1の計5例(5.8%)であった。成績は、症状問診スケール・スコアによって評価すると、PPH群で術前平均19.9、術後3カ月以内6.2、3ヶ月以上4.5と有意に低下した。入院期間は、H17年以降ではPPH群2.6日、非PPH群2.3日と差はなく、安全性及び成績においてPPHを応用した上記手術はほぼ確立された。

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