S-TEC開設式の様子が、常陽新聞09年12月7日(月)に掲載されました。
鏡視下手術の技術向上へ
幕内会と昭和大 小美玉にトレセン開設
医療法人幕内会(幕内幹男理事長、石岡市東石岡4丁目は昭和大学(東京都品川区)と連携し、外科手術の主流になりつつある鏡視下(内視鏡、腹腔鏡など)手術の修練や新しい術式開発を目的としたトレーニングセンター「昭和大学・山王台病院 医療技術内視鏡トレーニングセンター(S-TEC)」を小美玉市高崎に開設。6日、昭和大学関係者、県内の医療関係者などを集めて現地でオープン記念式典を開催した。同様の訓練施設は九州大学と、医療用製品の導入・販売関連企業の施設が福島、静岡県にあるのみで、医療法人が設置するのは国内で初めて。 (園部高秀)
従来の外科手術は開腹手術が主流だったが、近年の医療技術の進歩は目覚ましいものがあり、体への負担も少ないことから鏡視下手術が主流になりつつある。この手術は直径2〜10?の細長いビデオカメラを手術部位に挿入し、テレビモニター上に映し出された映像を見ながら行う。カメラのシステムは消化管や気管支内視鏡と同様で、腹腔では視野を得るために炭酸ガスを注入して空間を作る。手術翌日から食事が取れ、3〜4日以内に退院できる。経過が良好なら手術翌日に退院ができるケースもある。
幕内理事長は、腹腔鏡下噴門形成術(逆流性食道炎に対する腹部の内視鏡手術)やPPH(痔・直腸脱の最新治療法)などで全国的に知られる?ゴットハンド?。しかし、幕内氏は従来と同じ教育システムでは優秀な外科医が育たないと、卒前卒後教育での十分な教育の必要性を強く訴えていた。
その結果、昭和大学と連携して同センターの設立にこぎつけた。特別訓練室では実際の臨床現場を再現、内視鏡外科手術システム、超音波手術システム、高周波手術装置などを揃え、実際の手術と同様の訓練が可能になる。また、?スタンダードコース?アドバンスコース?ベーシックコース?コ・メディカルコース?獣医療コース―など多彩なコースを用意、幅広い人材の育成を目指す。
施設は幕内会と昭和大関係者に限らず、すべての医療機関に開放する。技術力の向上によって、外科医離れ、手術離れにも歯止めを掛けたい考えだ。
幕内理事長は「外科医になって28年になるが、当時は手術技術の習得は修練が中心で、10年、15年たたないと身に付かなかった。しかし、最近の医療技術の進展は目覚ましいものがあり、トレーニングの必要が生じている。鏡視下手術の限界はまだ先にあるはずで、外科手術の大切さを学生にも伝えていきたい」と式辞を述べた。さらに、山口やちゑ県保健福祉部長、島田穣一小美玉市長、昭和大関係者らが祝辞を述べた。
式典終了後、参加者はセンター内を見学。実際の医療現場と変わらない高度な医療機器に驚きの表情を見せていた。