11/13(土)茨城県開発公社ビルにて第17回茨城鏡視下手術研究会が開催されます。
昨年行われた第16回の会では私が当番世話人を務めさせて頂き、皆様のおかげで盛大な会にすることが出来ました。
今回も当院よりの発表を致します。
演題名
胃食道逆流症に対する鏡視下噴門形成術133例の検討
―手技の安定化を目指して―
演者 幕内幹男
我々は、最近11年間で133例の胃食道逆流症に対して鏡視下噴門形成術を施行した。
対象は、男66女67例、22〜83歳平均52.6歳で、逆流症状のアンケート問診票(Fスケール変法)の高スコア、PPI抵抗、巨大ヘルニアに伴う心肺機能障害例などを適応とした。
術式は、Toupet法132例、Nissen法1例で、ポイントはwrappの長さや程度及び裂孔の適度な縫縮と、gastropexyによる滑脱の防止等にあるが、術後早期のつかえ感と長期的に診たwrappの緩み及び短食道例の胸腔内への引き込みである。
合併症は、皮下気腫4、気胸4、脾被膜出血2、胃チューブの縫着1例で開腹移行はなかった。手術時間は107〜358分平均192.4分、術後入院期間は3〜23日平均8.6日であった。
症状の改善をスケール・スコアによって評価すると、術前平均21.7に対して術後3ヶ月以内で3.8、3ヶ月以後0.9と極めて改善が得られた。しかし、術後初期のつかえ感10例に対して1〜2回の内視鏡的バルーン拡張術を、術後数ヶ月を経過した後に5例にPPIを一時的に再開、1例に継続投与を行なっている。またクル病合併短食道例にヘルニアの再燃を認めた。
同術式は、症例の積み重ねによって確立しつつあるが、術後早期のつかえ感と逆流症状の再燃のバランスに尽きると思われ、つかえ感は若年、再燃は高齢者に多い傾向にあった。
術式には年齢、体格、短食道例などを考慮した個々への工夫が必要と思われ、更に適切な術式とトレーニングによる安定化について検討して報告したい。