第243回 茨城外科学会に十二指腸下行脚へ浸潤を疑わせ切除方法に難渋した腸間膜リンパ管腫の1例をエントリーした。
稀な疾患であり、更に今回は十二指腸下行脚に接して存在し、膵頭十二指腸やその他の膵温存十二指腸切除などの切除方法に検討を要したことを含め報告したい。
第243回 茨城外科学会
平成29年6月24日(土)13:30〜 筑波大学 臨床講義室D
演題: 十二指腸下行脚への浸潤を疑わせ切除方法に難渋した結腸間膜リンパ管腫の1例
抄録
症例は65歳 男性 右脇腹から背部にかけての鈍痛にて来院。腹部造影CTにて十二指腸下行脚を取り囲むように足側に向かって横行結腸と下行結腸間に存在する造影(−)の42×88×100?の腫瘍を認め、右結腸動脈は巻き込まれていた。腹部エコーでは、多房性の嚢胞性腫瘍像を、MRIではT1W1低信号、T2W1高信号でリンパ管腫を強く疑わせた。超音波内視鏡では十二指腸壁との癒着を疑わせたが層構造は保たれていた。
手術は、十二指腸切除を前提に開腹にて施行、腫瘍は嚢胞様で極めて薄い被膜に覆われて十二指腸を半周近く覆うように存在していたが、それぞれの損傷なく剥離することができた。右結腸動脈は、合併切除し結腸間膜と共に腫瘍を切除することができた。病理診断の結果、腸間膜原発リンパ管腫と診断された。
リンパ管腫は小児の頭頸部に発生することが多く、腹部は5%未満と言われおり、また成人発生例は稀である。この度、画像診断でリンパ管腫が疑われたが、十二指腸下行脚を取り囲むように存在するため、切除方法の選択に難渋した症例を経験したので報告する。