日本臨床外科学会

第77回 日本臨床外科学科が11/26(木)〜28(土)に福岡にて開催されます。
本年度も演題を登録致しました。

演題:『噴門機能障害に対する3D鏡視下手術の有用性』

演者:幕内 幹男

我々は、過去15年間に噴門機能障害である食道裂孔ヘルニア・胃食道逆流防止機能障害158例及び、下部食道括約筋弛緩障害であるアカラシア症15例の計173例に対してそれぞれ鏡視下Toupet及びHeller-Dor手術を施行した。対象症例は男80女93例、16〜83歳平均52.1歳であった。 術後合併症は、胃チューブの縫着1例、気胸にて胸腔ドレーン挿入2例で大きな合併症はなく、開腹移行は1例もなかった。術後成績は、全例に症状の改善が得られmFスケール前22.0後0.9、Aスケール前36.4後2.0であったが、Toupetの2例、Heller-Dorの1例に術後1〜8年後に再発を認め、再手術を行なった。
 両術式の手術操作は、近似している部分が多く、術後再発や症状の満足度には様々な工夫が必要となり、巨大食道裂孔ヘルニアや悩病期間の長いアカラシア症等は、ヘルニア嚢内での癒着や筋層切開に難渋する。またToupetfundoplicationやDor wrapping等の縫合操作が、2Dでは距離感が把握しにくいことを経験した。しかし疾患の性質より、必ずしも多くの症例を経験し難く、その技術の習得には時間を要する。
 2014年3Dシステム導入後、2例のToupetと1例のHeller-Dorを経験したが、それに伴ってヘルニア嚢からの剥離や縫着のsuturing操作の運針等が容易となり手術操作のストレスはかなり軽減された。今後更に短期間で安全・確実な手術を行なえることが期待されるので手術操作を中心にビデオにて供覧し報告する。

茨城外科学会

第238回 茨城外科学会が7/18(土)13:00〜県立こども病院にて開催されます。今回、当院より若林哲司医師が発表致します。

演題:『胃十二指腸型胃重責症の一手術例』

演者:若林 哲司

抄録:
胃重積は比較的稀な疾患で、胃切除後輸出脚の重積や胃病巣が先進部となる報告が散見される。この度、巨大胃ポリープ(adenocarcinoma)が先進部となり胃重積を繰り返す症例に対して小開腹、胃切開下にて切除した症例を経験したので文献的考察含め報告する。
 症例は81歳女性、認知症、ADL低下にて介護施設入所中H27年1月15日、食事摂取不能、嘔吐にて受診。CTscanにて胃重積様の所見を認めたため、内視鏡を施行したところ噴門部に最大径8?の有茎性ポリープを認めた。径は太く一部噴門に接しており、また茎部が漿膜を巻き込んでいる可能性が高いため、内視鏡的摘出は不可能と判断、可及的にポリープの先端部をpeace mealに切除し縮小化をはかった。しかし、その後も漿膜を巻き込みながら幽門輪を超えて十二指腸に入り込み自然整復不能となった。その為、内視鏡下に3度整復したが、4度目に準緊急手術に踏み切り、全身状態より短時間で小侵襲の上記手術を選択し良好な結果が得られた。

第17回茨城消化器外科治療研究会

今年の茨城消化器外科治療研究会
6/26(金) つくば国際会議場 で行われます。
今年も演題を応募いたしました。

演題:
『胃悪性リンパ腫に対するoncologic emergencyとしてのR-CHOP療法の役割』

演者:
幕内 幹男

胃原発悪性リンパ腫(ML)は、時として急速な発育を来し治療開始を躊躇すると予後不良となる。
我々は、過去15年間で10例の胃ML症例をfollow upし得た。症例は男3 女7、51〜86歳、平均69.6歳、組織型は全例diffuse large B-cell typeで、9例に対してCHOP又はR-CHOP療法を行った。
家族が治療開始を躊躇った86歳女性は受診後約2ヶ月で死亡。9例は2〜27クール施行、1例はCHOP療法に著効したが4クール目で腫瘍発育の制御が不能となり、早々に胃全摘を行った。また、1例は化療前に吐血にて緊急胃全摘を行った。現在follow中の症例を含め9例の生存期間は、今のところ3年2ヶ月〜13年8ヶ月、平均6年6ヶ月であった。また、死亡3例は3年4ヶ月〜13年8ヶ月で平均9年4ヶ月であった。
2003年6月rituximab(CD20陽性例)併用承認後は、R-CHOPにて6例中5例に寛解が得られた。1例に腫瘍崩壊症候群(tumor lysis sy)にて人工透析を行い救命し得た。
Diffuse large B-cell type MLは、時にtumor lysis syなどの重篤な合併症も診られるが、oncologic emergencyとして診断後に躊躇することなく2week程度で治療開始することが望ましいと思われた。