H24年3月17日(土)につくば国際会議場にて第228回茨城外科学会の開催が予定されています。
当院より2演題応募致しました。
演題
下大静脈・腎合併切除によって切除し得た
右副腎隣接巨大paraganglioma の1例
演者 幕内幹男
抄録
症例は48歳男性、右上腹部痛の為受診、腹部CT、MRI等で右副腎に隣接したφ10?の巨大腫瘍を認めた。CT angio で腫瘍は下大静脈を後腹膜より著明に圧排、浸潤を強く疑わせ、下副腎動脈及び腎動脈背側枝をfeederとするものであった。尿中VMA(+)、血液検査ではfunctional tumorは否定できなかった。高血圧は認めず質的診断には至らなかったが、malignancyを強く疑い右副腎に加え右腎及び下大静脈を合併切除し、肉眼的に完全切除し得た。下大静脈浸潤部が腎静脈頭側にあったが、幸いにclamp後左腎静脈圧の上昇はなく、V-V shuntを行わずに合併切除、形成縫合した。病理所見はmalignant paraganglioma、下大静脈浸潤(+)であった。paragangliomaは稀な傍神経節由来の腫瘍であり、後腹膜腫瘍中2%程度と報告されている。同腫瘍の良性悪性の病理所見による明確なcriteriaは確立していないが、他臓器浸潤のある例は悪性度が高いとの報告があり、今回我々はen bloc切除し得たparagangliomaを経験したので報告する。
演題
腸重積で発症したメッケル憩室の一治験例
演者 志村 浩
抄録
症例は17歳 女性。腹痛、嘔吐を主訴に来院。腸重積の診断で緊急入院となった。CT上、上行結腸内の先進部はリング状に描出され、回腸の一部が先進部となっている可能性が示唆された。腸重積の好発年齢ではない為、器質的病変の存在が強く疑われ、メッケル憩室による腸重積を念頭に置き手術に臨んだ。
腹腔鏡補助下に小開腹。先進部に胡桃大の腫瘤を触知した。malignancyも完全には否定できなかったものの、若年でもあり、画像上メッケル憩室の可能性が高く、過大手術は不利益と判断し、ハッチンソン手技による整復を行った。先進部は回腸末端より約60?口側の憩室であった。その為、同部も含めて約10?の回腸切除を行い、病理診断にて粘膜層内に胃底腺が存在することが確認され、メッケル憩室と診断した。
メッケル憩室は、胎児期の卵黄管が遺残した真性憩室であり、回盲弁より0.6〜1.3mの回腸の腸間膜付着部対側に存在する場合が多い。メッケル憩室が腸重積の原因となることは比較的稀で、術前の診断は困難な場合が多い。今回、術前に診断し得た症例を経験したので報告する。